2022年9月某日 第1回 「逃げないで、自分のことをしっかり考えたいです」

「逃げないで、自分のことをしっかり考えたいです」 2022.9/第1回

~ 相談者を迎えてグループワークが始まりました・6人参加 ~

グループの持つ力を活かすという支援の方法があります。
相談者の若者の現実の生活に役立つものの考え方と行動を身に着ける手助けをする方法です。
支援者も自分の弱さをいかにして乗り越えていくのか、そのプロセスを大事にします。
相談者の高校生に声を掛けたら参加を即答し、始まったしだいです。
参加者には珈琲とお菓子が用意され、居心地の良い場です。
司会者が、初めてのことなのでまずは自己紹介をし、嬉しかったことを話しましょう、と言ってワークは始まりました。

(相談者) 今日は私をこの場に呼んでいただいてありがとうございます。
小・中でかなり不登校でした。自分への認識の切り替えができてないので、今日の機会はありがたいです。
嬉しかったことを自己紹介の中で話して下さいということなので、進路の話をします。親からは無理に高校へは行かなくていいよ、と言ってもらって嬉しかった。
(高校生) 忙しくなったので、先生に連絡して少し休ませてもらいました。嬉しかった。
観光用チラシのデザインを描きました。
(30代男性) 好きなことはPCの解体・組み立てです。ソフトよりハードウエア―が好きです。子ども向けのライト・ノベルを書いています。
(祖母) 孫を母親代わりで育てました。趣味は草木染です。
(SW ①) 昔、趣味で機織りをやっていました。時間ができたら、またやりたい。
先日の連休に東京から友達が来ました。2年ぶりに会い、くだらない話を二日間しました。昔のこと、これからのこと・・・。
(SW ②) 30年前、話し相手と送迎のボランティアグループを作りました。 このごろ、こもり系の若者がお父さんとの対話がかみ合うようになってきたのが嬉しいです。
連絡が来ると、2時間の対話を続けてきました。3人はメールでつながっています。
私の高齢の母親が有料老人ホームに入りましたが、要介護2から要介護1になったのが嬉しかった。落ち着いてきたので。
(相談者) このごろ考えることは、自分が好きなことをやっていくにはどうすればいいのだろう? 勉強では生物が好き、絵を描くのも好きです。
(高校生) このごろ絵を描かなくなって、デザインを描いています。新しい出会いがあると開かれて行きますね。
(相談者) 勉強もそうですかね? 誰かと一緒だとできるが、家ではそういう環境がなくて…。
(SW ①) 目標があればできるの?
(相談者) まだ目標がなくて……。環境があれば嬉しい……。どっちもあいまいで、行動が続かないのです。
(SW ①) そういう人はいっぱいいますね。何がきっかけになるのか?
(相談者) たとえば栄養士になるための専門学校などは、県内にあるの?
(祖母) ありますよ。
(高校生) 私は一人でやるタイプなのです。一人で答え(目標)は見つけました。
(SW ②) 相談者さんと高校生で、ラインをつないで一緒に勉強したら? 付き合える?
(SW ①) そんな感じでできますか? やってほしい。
(相談者) 一緒にやってくれると嬉しいです。
(高校生) ラインでできるよね。やってみましょう。
(SW ①) 先ほどの話を聴いていれば、自分から行動できるのだ…。すごい!
(SW ②) こうしてつながったきっかけは、相談者がFBをたまたま見て連絡をくれたからです。こどもたちのためにいいことを始めましたね、と……。
相談者さんとは月1回のペースで話したり、一緒に勉強したりしています。
(SW ①) すごい。あなたは適格なSWさんとつながったね。
(相談者) バイトをしている時もメモは取りますね。今日もメモ帳を持ってきました。
(SW ① ) 高校から大学に進むと、暗記ではなくて思考になります。 自分がどう考えるか? 資格を取るには専門用語も覚えないといけません。
得意なものを伸ばすといいと思う。
(相談者) 話すこと、絵を描くこと、デザインを描くこと、が好きです。でもこれで将来的に生活が成り立っていくのか、不安があります。どうやればいいのか?
(SW①) その不安はみんなあるよ。不安から逃げないない覚悟が必要です。最後は自分で決める。不安にも向き合うといい! 逃げても、どの道に行っても同じ。
(SW ②) 不安や葛藤は誰にもあるよね。SWは逃げてれば支援にならないし……。
(相談者) 自分は逃げているな……と思いました。
(SW ①) 高2・3は、悩むときだよ……。あなたは今、ここに来ている。SOSが出せる人だよ。あと半年、逃げないで考えるといい……。
どういう道があるのか、調べるといい。保育の仕事をするなら、根本的なことを勉強するということで社会福祉士の方がいいかも……。
(祖母) いろいろな短大などのオープンキャンパスや説明会に行くと、見えて来るよ。
(SW ①) 動いてみるといいよね。
(相談者) 頭で考えてしまって……。自分でやるのが苦手なので……。
(SW ①) この場は何を話してもいいの。楽しみだから……。
(SW ②) 次回は11月の予定です。(了解)
(相談者) よろしくお願いします。

~ 数日後、相談者から感想メールが届きました。

”あの後、絵を描くことにのめりこんで、描き上げました。最後はワクワクした気がします。楽しかったです。自分のこと、しっかり考えたいです。”
◎参考資料。「私の体験的グループワーク論 ~ 現場ですぐに役立つ実践技法を伝えます」(前田ケイ著・金剛出版・2021刊)


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