~旭川中2自殺・再調査委員会報告書全文と、2024.9.14 信濃毎日新聞の記事を読んで~
(田中敏夫記)
① 9.14 信毎記事から抜粋して書きます。
*“死にたい。誰を信じていいのか分からない” と訴えていた。
- 見出し~ 被害者が苦痛なら「いじめ」。 いじめ防止対策推進法定義 学校側が理解欠く。
- 2021.2 旭川市の中2女子(14才)がいじめを受けて自殺した問題で、旭川市は9.13 いじめと自殺の因果関係を認めた再調査委員会の報告書を公表した。(*市のHPに公表版が掲載 367ページ)
「被害者が心身の苦痛を感じる行為」をいじめとする「いじめ防止対策推進法」の定義が学校関係者に欠けていたと分析し、心身の苦痛を正しく評価するよう求めた。 - 「被害者の状況つぶさに調査 画期的」 (池坊短期大学・桶谷守学長/教育学 生徒指導)
子どもがなぜ苦痛を感じたのか、背景や環境をしっかりと調べることが必要だと示した。
障がいを背景にクラスになじめなかった広瀬さんの疎外感を抱かせた点をいじめに認定したことも評価したい。クラス外に居場所を求めていたと言う広瀬さんが、追い詰められていく状況が明らかになった。
広瀬さんの人間関係やクラスで置かれていた状況などを、つぶさに調査した画期的な報告書であり、全国の同種事案でのモデルにしてほしい。
*再調査委員会の構成~ 委員長・尾木直樹 副委員長・野村武司 仲真紀子 伊藤亜矢子 斉藤環。
再調査委員会の報告書のポイント(信毎記事より) - 「被害者の心身の苦痛」をいじめとする「いじめ防止対策推進法」の定義の理解が、学校関係者に欠けていた。
- 「いじめ防止対策組織」が、学校現場で形骸化している。全国の教育委員会に運用状況の調査を求める。
- 発達特性に起因する言動のためクラスで孤立し、先輩との関係に居場所を求めた。
- 先輩からの性的要求など7件のいじめがなければ自殺は起こらなかった。
② 〈私ならどうしたか、考えました〉
- 本人が4才の時、両親が離婚した。(報告書には、本人への影響度合いの記載なし)
- 小1では、癇癪が多く、イライラ・落ち込み・パニック・フリーズもあり。
- 本人が小4の時、ASD(自閉症スペクトラム)に特徴的な所見。また担当医師から“性的な被害にあう可能性が高いため、見守るように” との指示あり。バウム検査では、他者とのコミニュケーションが取れないことによる自信のなさ。母親への反発と見捨てられ不安あり、と記載。
➡ 保育園などの連絡ノートを見せてもらう。小4の段階で、チーム(母親・祖父母・友人・SW・病院・学校・市役所など)で支える体制を整え、本人と対話を開始する(週1回・つながりを回復する)。
“死にたい” “誰を信じていいのか分からない” から、「信頼できる関係をつくる」へ進む。
クラスから疎外されていることを、いじめとして捉え、本人を支え、クラスを変える対応を始める。
- 2020.6 家出し、入水を止められて、医療保護入院。近所の人が通報し、警察官と教員が駆け付けた。
現場には加害生徒がいた。 医師の見立ては、「希死念慮の伴う行動化のリスク。母親による
族対応困難にて、入院を要する。」 本人は、“みんな私が悪い” 過呼吸発作あり。
➡ この自殺未遂によって、金品の要求と、性的要求があったことが判明した。警察は、成人なら即逮捕とのこと。 今津市長は、再調査委員会報告書を議会に報告、“同じことが繰り返されないよう…”。
この段階まで来てしまったので、加害生徒と保護者への聞き取りをして、証拠写真などを消去・保存する、本人の目の届かないところまで転居してもらう、加害者回復プログラムへ参加してもらう。
- 2020.9 市教委の係長がF中を訪ね、“母親からの愛情不足。愛着障がいが背景要因としてあるのでは?”
➡ 「愛着障がい」と感じたのなら、教育委員会の誰かが “無償の愛” を注げばよかったと思う。