ゲートキーパー養成講座を受講して考えたこと

―いのちの重さについて考える―

1.はじめに

今年も小諸市では、ゲートキーパー養成講座が3回に分けて開催されました。日程は、9月24日(水)、10月3日(金)、そして10月29日(水)。いずれも18時30分から90分間の講座です。

私は、9月24日と10月3日の講座には対面で参加しました。残念ながら10月29日は都合がつかず、後日YouTubeで配信された内容を視聴する形で受講しました。

この原稿では、私が講座を通して感じたこと、考えたことをお伝えしたいと思います。特に、講座を受ける前と後で変わった考え方、もしあなたの大切な人から「死にたい」と言われたらどうするか、そしてゲートキーパーとして大切にしたいこと、という三つの視点からお話しします。

2.養成講座を受講して考えたこと

(1)受講前と受講後で変わった考え方

講座を受ける前、ある知人から「友人に『死にたい』と言われたらどうする?」と聞かれたことがありました。そのとき私は、「自分が死にたいと思ったときの話をする」と答えました。同じような気持ちを経験したことがあると伝えることで、相手に寄り添えると思ったからです。

しかし、講座を受けてからは、その考え方が変わりました。講師の方がこう言ったのです。「死にたいと思っている人は、相手に同じ経験があると聞いても、関係ないと思うことがある」と。その言葉を聞いて、ハッとしました。切迫した状況にある人にとって、相手の過去の話は響かないかもしれないと感じました。

それ以降、相手の話に耳を傾ける「傾聴」の姿勢が何より大切だと思うようになりました。ただし、聞き方には注意が必要です。感情的に寄り添いすぎたり、自殺を肯定するような言葉をかけてしまうと、かえって「死にたい」という気持ちを強めてしまうこともあると学びました。

(2)「死にたい」と告げられたらどうする?

もしあなたの大切な人が「死にたい」と言ったら、どうしますか? 私は、まずその人の気持ちに寄り添いながら、「どうしてそう思うの?」と質問し、相手の話を丁寧に聞きたいと思います。その言葉を否定も肯定もせず、ただ受け止めるます。そして、今後の対応を考えるために、必要な情報をさりげなく集めることも意識したいです。話を聞くときは、うなずいたり、真剣な表情で聞いたりと、言葉以外のコミュニケーションも大事だと思います。

しかし、実際にその場面に直面したら、私はきっと頭が真っ白になってしまうでしょう。なぜなら、自分の一言で相手が自殺を決意してしまうかもしれない、そんな恐怖があるからです。もちろん、冷静に考えれば、自分の言葉だけで誰かが命を絶つことはほとんどありません。「死にたい」と思う背景には、複雑な理由があるはずです。だからこそ、すべてを自分一人で背負い込む必要はないのです。しかし、経験が浅いと、どうしても不安になってしまうのです。

そのような場合の対応については、次の項目で触れます。

(3)ゲートキーパーとして大切にしたいこと

ゲートキーパーとは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応ができる人のこと。まさに「命の門番」と呼ばれる存在です。

私が大切だと思うことは、二つあります。

一つ目は、「危険信号を見逃さないこと」です。たとえば、いつもより元気がない、話す言葉が少ないなど、小さな変化にも気づいて、声をかけることが求められます。講座を受けながらこう思いました。むしろ、危険信号をほとんど出さない人のほうが、リスクが高いのではないかと。分かりやすいサインがあれば、周囲も気づきやすい。でも、何も変化がないように見える人ほど、気にかける必要があるのかもしれません。

二つ目は、「支援者(話を聞いた人)が一人で抱え込まないこと」です。誰かに「死にたい」と言われたら、「誰にも言わないで」と言われるかもしれません。でも、命を守るためには、プライバシーよりも安全が優先されるべきです。また自殺への対応は、一人で背負うには重すぎます。私たちにも限界があります。だからこそ、身近な人に相談したり、支援機関につなげたりすることが大切です。一対一の関係は、依存度が高くなりやすいですし、支援の幅を広げる意味でも、複数の人で関わることが必要だと思います。

3.おわりに

ここまで、私がゲートキーパー養成講座を通して考えたことをお話ししてきました。講座を受ける前と後で変わった考え方、もし「死にたい」と言われたらどうするか、そしてゲートキーパーとして大切にしたいこと、というこの三つの視点から、私の考えたことをを共有しました。

この講座は、私にとって大きな転機となりました。知らなかったことをたくさん学びましたし、自分自身の対応の仕方を見直すきっかけにもなりました。

もしあなたが、誰かの「死にたい」という言葉に向き合うことになったら、そのときは少しでもこの話が役に立てば嬉しいです。

著者:江元 結衣 作成日:2025年11月10日


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