
~対人支援の熟成 ⑬~
友人から、〈AI作成の安心基地〉 についての資料を4枚頂きました。
安心は自分の中にある。
安心基地を造るには、評価をしないこと。正しく導く場ではなく、何も導かなくてもよいと身体が知る場。
安心基地ができると、本人の回復力が立ち上がる。
支援者が相談者を治すことはできない。
家族関係が修復されるには、第三者の関りが必要。 などの記述がありました。
それに応答した田中の発言を、SW(ソーシャルワーク)視点から書きたいと思います。
SWは相互交流を基盤とする仕事
相手と初めて会う時は、少しだけ緊張します。 高校生と会った時、広い喫茶店の入口に行くまでの距離の取り方がすごく近く、そのことだけで、感じることがあります。知らない人との距離が近いところから、始まるのかな? 柔軟な距離の取り方が、わからないのかな?
喫茶店に入り、高校生がどこに座りますか? と言うので、“あなたが決めてください” と答えました。
ここから、SWが始まりました。 ほどなく、高校生が座る席を決めるようになりました。
アセスメントは両者の協働作業です。この時は、初日の最後に高校生から核心に触れる言葉がありました。
無償の愛とは? 誰の中にも眠っているもの
“私の親は有償の愛でした”
“えっ、有償とは?”
“テストを100点取らないと、ほめてくれなかった”
“どう頑張ったか? どう成長したか? じゃなくて!”
昔、ある精神科医とのやりとりです。 私の両親とは、そんなやり取りがなかったから、ビックリ。
ほめてもらうようにやるのって、疲れますよね。自分が形成されていかないというか・・・。
私は祖母と母親から、いっぱい 愛情をもらって育ちました。
祖母は郵便局で電話の交換手として働いたキャリアウーマンで早くに連れ合いをなくし、二人の母親がいる感じで育ちました。 2才の頃、近くの駅の機関区へ僕をおぶって蒸気機関車を見に行くのが、日課でした。
だからでしょうか、私は人を恨んだことはないです。責任は私にあると思うからです。
無償の愛とは、こうした体験から、生きものに綿々と受け継がれ、誰の中にも眠っているものです。
それに気づき、それを誰かにあげることで、受け継がれていきます。
見返りを期待せず、人格を深く関わらせて、相手と相互交流すると、感じ取ってくれます。
具体例は、中学校の同級会が数人で無尽を続けてきて、窮地に追い込まれる中で仲間に支えられ、眠っていた無償の愛が目覚めた方がいました。
また、一人孤立していた方に食料を届けていましたが、民生委員さんが手作り弁当を届けるようになって、人の愛を感じ取り、福祉の権利を活用することを決めた人がいました。
学校では、多くの先生がこどもたちのトラウマからの回復に取り組んでいます。 校長先生が、取り組んでいる先生をバックアップする機能を持つことを必須にしてほしいと思います。
祖父母から無償の愛を受け取って、今は虐待を受けたこどもの安心基地になろうとし始めた若者もいます。
SWは無条件に相手を信じて相談支援を始めるので、ごくたまに相談者に騙されることがあります。
しかし、それも半年もすれば、バレます。相互交流なので、隠し通すことって難しいのです。顔に出ます。
一方で、目の前のこととしてはわかるみたいですが、それまで抱え込んできた社会への恨みなどを持ち続けていると、その感情を手放せずに、対話から逃げ出す人がいました。 対話が続いていけばいいのですが・・・。
SWとして愛着に働きかけ、誰にも眠っている希望に働きかけていきたいと思います。
安心基地とは? 自分で答えを見つけられる人になれること
安心基地は身近なところに、そしてあなた自身の中に造ることもできます。
必要に迫られたときに、こころのよりどころとなる人(SWも)や場所のことです。
例えば、大人でぐちゃぐちゃな人間関係を繰り返し、最後は一人の方にどっぷり依存した方と、ある方の紹介で出会いました。その人が自分の人生を時間かけて話してくれて、少しづつ前向きに生きるようになりました。家族関係の修復が始まり新しい出会いが始まっています。この方から学んだことは多いです。
今頻発している振り込め詐欺も、安心基地がある人は騙されないと思います。
SWは時には自分の体を張って、相談者と対峙し格闘することもあります。相手の方をずっと見つめてき
て、ここだ!と思う瞬間があります。
相談者の安心感のよりどころとなっていくうちに、今度は相談者も安心基地として機能し始めます。
安心基地を身に着けていないSWは、相手を治そうとします。 しかし治るのは、本人なのです。
“私の評価をしてほしい” と言う方が、一人だけいました。いくつかのポイントとなる質問には答えてくれませんでしたが、評価文を作成させて頂きました。が前日、キャンセルしてきました。でも私は、これまでの生々しいやり取りで「評価」は伝えられたと感じました。
家族関係では、一人が変わり始めると、周りが、家族全体が変わり始めます。 家族って、水面下でつながっているみたいです。また。両親の愛着が機能し始めると、こどもは少しづつ自律し始めます。
自分で答えを見つけ、そして人の安心基地に育っていきます。
支援者にも支援が必要です(スーパーヴィジョン)
「身体知と言語」を次世代に引き継いでいく方法の一つが、振り返る・見つめ直すスーパーヴィジョン
です。
日々の相談支援のなかで、相談者とうまくいかず、方向性が見いだせないケースがあります。
支援者が自滅しないように、支援者の支援技術を磨いていけるように、支援していく必要があります。
そして時には相談者とも話したり・・・。
相談支援の現場では、こうしたバックアップする熟成したSWが、必要です。
振り返りを繰り返しながら。 相談者から学びながら。
(*「身体知と言語」奥川幸子著・中央法規刊・2007年) ~田中敏夫記~

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