オープンダイアログ

〈 対話実践の社会的実装を考える国際シンポジュウム 〉 2024.2.28  am9:30-pm4:30。

(北海道医療大学先端研究推進センター・東京大学大学院総合文化研究科 共催)
参加者/ 会場参加160名・zoom参加約600名。 会場/北海道大学学術交流会館(札幌市)。

         *この報告は、田中のメモを元に、印象に残った所を抜粋して田中が書きました。

(向谷地生良さん挨拶) 
今メンタルヘルスの領域は、対話をベースにした医療へと変えていこうとしています。
本日は、ヤーコ・セイックラさん、韓国・台湾などで当事者研究をしている方々が参加しています。

(石原孝二さん・東京大学) 
オープンダイアローグは対話の条件を満たしているか? ODの7つの原則の中に本人・家族の主体性を獲得することで新たな理解が得られる、とあります。

(熊谷晉一郎さん) 
当事者研究には4つの柱 ~ ①支援の方法として ②研究の方法として ③組織変革の方法として ④共同創造と実装したインクルーシブ・アカデミアの実現に向けて、 があります。
組織の変革は、大学やゼミでも必要です。 共同創造は、2020年にスタートし、政策書を出しました。

(斉藤環さん) 
日本におけるODの実装。 日本における課題は、組織における不確実性の耐性の欠如。
プロセス志向よりも、ゴール志向が強いこと。親族・友人のネットワークの治療的意義の無理解、です。

(韓国より) 
当事者研究とODは、創造的に補充する関係。 仲間とその苦しみを共有して、考察する。
ODは対話自体の促進が目的。専門家を含んだチームで行う。苦労の関係を発達させることに役立つ。

(韓国より) 
韓国では、当事者研究とODは、ほぼ一緒になっています。 私は当事者研究センターの代表でOD準備委員長です。二つに大きな違いはないです。 丸い車輪とフオ―クがうまくつながり、回っていくのではないか。 2007年、初めて べてるの家 を訪問しました。 ODの基本コースを40人が終了。

精神障がい者が多く参加しています。 対話によって回復することが確認されました。 聞くことと、話すことの訓練が必要です。 そのスーパービジョン体制の整備を、現場から求められています。

(高橋美穂Dr.・札幌なかまの杜) 
高校時代には死ぬことを考えました。人に寄り添える仕事を目指したので、幸せなDr.です。私の対話は1対1が多いですが、開かれた対話を心がけています。 オープンとは ~ 

①多方向に自由自在に開かれている。 
②共に心が開いている。 
③話してくれる人へのリスペクト。

治療者はその人そのものにはなれません。治療者が迷路の出口を知っているというのは、幻なのではないかと思うこの頃です。 生きる難しさを感じていますが、人間にしかケアはできません。 気持ちが変わっていくプロセスを大事にしていると、この迷路を抜けることもあるかもしれません。 心を開いて話すこと、心を開いて聞くことの可能性をこれからも大事にしていきたい。

(石垣圭子さん) 
接食障がい当事者です。べてるの家に来て2年。支えてくれた主治医から、“キレが出てきたので、べてるへ行きなさい“ と言われて。仮面の研究をしています。仮面をかぶって生きてきました、優等生のふりをして。 以前はごまかしばかり。親から否定ばかりされてきました。 今は隠しません。仮面をぶち壊し、本当の自分の気持ちを出したいと思います。誰にも安心して相談できる居場所があればいい。

(賀古勇輝Dr.) 
北海道大学病院・司法精神医療センターの精神科医(2022 開院)。患者さんは殺人や放火をした人たちもいて、強制性の強い環境下で、外にある当事者研究が必要です。統合失調症と発達障がいの共存の人が多い。薬物療法はまだ限界ではないと思います。精神科医は薬の使い方が上手ではないと思います。
不適切な薬物療法はしたくないし、また当事者研究も過小評価されていて残念です。 優秀な医師は両方上手だと思います。対立の構図にすべきでないと思います。アウトカムをきちんと観察することが大事。
どうケアするのかは、本質的には変わらないと思います。安心して人とつながれるようになっていくこと!当センターに来る患者は、誰も信用できず、事件は起こるべくして起こっている。それを取り戻す作業は十分できると思います。センターのプログラムには、笑い・ユーモアがあります・・・。

(ヤーコ・セイラックDr.) 
~オランダから参加~ 日本・韓国・台湾でネットワークを作って、ODに取り組んでほしい。 深刻なケースですね。トム・アンデルセンとの共著で、重い犯罪を犯した人へのODの本があります。
ODの考え方は、こども・スーパービジョン・教育などに幅広く適応されています。