~「 傷の声 ~絡まった糸をほどこうとこうとした人の物語~ 」(斉藤塔子著・医学書院刊・2024年) を読んで ~
新聞の読書欄で「傷の声」を知り、図書館で借りて読みました。数人待ちの状態でした。
「精神看護」(医学書院・3月号)で、宮地尚子さん、星野概念さん(共に精神科医)の感想文を読みました。 “職場で読書会などをして、どうしたらもっと楽に塔子さんが生きられたのか?” と・・・
斉藤塔子さん一人でほどこうとしないで、夫の方含めて数人で修復チームを組んで、愛情をいっぱい受け取りながら、長い時間をかけてほどいてほしかった。ほどけるまでの、長い寄り添いが必要だった。
宮地尚子さんは、次のように言っています。
“ 塔子さん一人で、全責任を背負わなくてもいいんじゃないか?
もう自分は大人だから、誰によっても絶対に修復されないんだ、と言ってます。絶望が深い。
ただ、割れた湯舟は修復できない、絶対できない、と宣言してしまうと、支援する側も辛いですよね。
出る湯も、入る湯も、バランスが取れれば、それを楽しめたら、生きていけます “
私は、身体を1万円で売ったことが、より絡ませてしまったと感じました・・・
そして、両親の離婚裁判の過程で、母親に頼まれて 父親のDVを証言した翌日、悪夢を見た。
それは、父親が飛び降りて自死した夢。
母からは、父のDVを証言してくれてありがとう、 とメールが来ました!
家族が 敵味方 になると、糸は更に絡まってしまったと思う。
塔子さんの絶望を、辛いと感じない感性を持って、ただ黙って 一緒に流れに乗って小舟で川を下るように、寄り添うサポートチームが必要だったと思う。
親から安心をもらえないなら、チームが希望を持ってサポートしていくといいと思いました。
(参考)
「精神看護」今年3月号の二人の精神科医の発言を、紹介する文章より。
特別記事 「傷の声」 複雑性PTSD、自分を傷つける人 の真実を読む。
“2024年11月、著者 斉藤塔子さんが亡くなって6か月後、「傷の声」は、出版された。 命を懸けて書かれたこの本は、精神科医療によって救われた著者、壊された著者、両方が登場する。 日々傷を持つ人の回復を真剣に模索している人は、この本をどう読み、何を受け取るのだろう。二人の精神科医に応えていただいた。“
「医学書院の本の紹介より」
本書は複雑性PTSDを生きた女性が、その短き人生を綴った自叙伝である。
複雑な家庭環境に育ち、複雑性PTSDを持つ著者が、死にたい気持ちがゆえにこれまで歩んできた、ふり幅の大きな人生を描く。
なぜ自分を傷つけるのかという疑問に回答をくれる最高の教科書。 傷ついた人に必要なのは、権力や物理的力で抑え込むことではなく、ケアであるべきではないかという気づきとヒントを医療者に与えてくれる。
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