オープンダイアローグ(OD)のように、水平に寄り添ってほしい。学級崩壊のクラスへ行き、小グループに分かれて話し合ってもらった。“よくしていくにはどうしたら?”少年院で職員が号泣“何もしてあげられなくてゴメン”⇒「一緒に道に迷ってくれたのが嬉しい」ヤーコ・セイクラッさんの言葉~対話とは?嫌な感覚があると赤ちゃんはジタバタします。ある時、おなかをすかしているのでは?と思い、ミルクを与える。落ち着いた・・・。


~6.28 NHKハートフオーラム「ODを土台に、日本の心のケアの近未来を考える」~


*敬称略。
4時間の長い対話を、私が印象に残った点を中心に、報告します。(文責・田中敏夫)

(司会・中野淳)
本日はzoom で1500人が参加しています。
(なお、参加者の声・質問全文と、5人のゲストからの応答を、後日、NHK厚生文化事業団から配信します)
本日は4部構成で、
①本人の声から対話を始める
②家族の声から対話を始める
③支援者の声から対話を始める
④エンディング・皆さんの声、となっています。
休憩は3回・各10分。
まず事前に受けつけたアンケートを紹介し、そのあと5人のゲストに対話して頂きます。
まず初めに、森川すいめいさんから、オープンダイアローグの概要を説明して頂きます。

(森川すいめい)
1984年、フインランドのケロブスタ病院で、対話主義が始まりました。本人のいないところで、本人の話をしない。医療者は、本人のことを一部しか知らないのです。
対話を通して起こる変化、第三者がいることで助かる、専門職が複数いて、途中でリフレクティングをします。
専門職の意見を、本人・家族らに聞いてもらいます。支援する・されるから、経験をシェアします。主体感は回復します。
お互いが経験をシェアすることで。お互いがコントロールすることはできない。

(小沢いぶき)
児童精神科医。こどもの心のDr。トラウマケア。中東や被災地でも活動しています。

(矢原隆行)
熊本大学教授。少年院や刑務所などで共同研究をしています。当たり前の対話を・・・。

(高口恵美)
大牟田市のスクールソーシャルワーカー。こども支援を中心に、地域で対話の場を広げたい。

(斉藤環)
昨年、筑波大学を退職し、つくばODハウス(クリニック)を開設、ODの実践をしています。

① 〈本人の声から対話を始める〉

(森川)
本人の方が、医療者や支援者よりよく知っていると、思いました。

(斉藤)
皆さん、関係性の中で生きています。医療におけるパターナリズム(父権主義)があり、本人の声が届かない。“水平に寄り添う”いい言葉ですね。双方向性が大事です。水平、フラットでいく…。

(矢原)
病気を見ないで、自分をみてほしい!こころは人の中に、人と人の間にあると思う。
一番変わらなきゃいけないのは、医療者だと思う。発達する、一番大事なのは遊びだと思う。

(小沢)
一人一人の中に多様性があって、人の心の揺らぎから変化していきます。水平さをどうやって作っていけるか?コントロールしようとすることを、手放す!何でも子どもたちは遊べます、その中でいろいろなつぶやきをします。

(斉藤)
手放す!直そうとしないことで、勝手に回復が起こるという気がします。中動態という考え方。

(高口)
家族も同席して頂いて、家族応援会議みたいなことをやると、変化していきます。
対話において、基本的にはこどもと大人の区別は必要ないと思う。関係性の問題はあるが・・・。

(5分間診療)
町の中で、じっくり声を聴ける場を作る野望が、あります。

(矢原)
ODを通して、新しい家族になる、新しい専門家になると思う。
少年院や刑務所でのやり取りが、一番のエビデンスだと思う。

(斉藤)
1対1に、もう一人加わって3人で対話する形から始めてみるといい。

② 〈家族の声から対話を始める〉

(斉藤)
家族との関りは面倒臭いとなる精神科医は多いと思う。家族は名前で呼び合うのがいいと思う。

(矢原)
家族での対話は難しい。余りにも近く、他者性が生まれないから・・・。少年院の経験~母親が面会に来た時、第三者が同席してたら、じっくりきいてくれるのでは?と彼は言いました。

(小沢)
家族のケアが閉じてしまう。ケアのひずみが生じてしまう。
こどものアンケート~最後まで話を聴いてほしい。繰り返し繰り返し、聴く!

(森川)
宿題って、やらなきゃいけないんですか?

(高口)
中2のアンケート~自分の気持ちが自分でよくわからないので、友人がどういう答えを求めているのかと考えて、答えてしまう…。

(斉藤)
つくば市でODのクリニックを開設しました。様々な方法で学んだ方が、ODを始めるのもアリだと思います。結果を判断するのは、ユーザーの方なので。

(矢原)
ケアが網の目に、入れ子構造になっていくのが大事。ODが社会全体に広がっていく・・・。

(斉藤)
このごろODをやったらこうなった、と言うことが大事と思う。対話が回っていれば大丈夫!

(矢原)
問題の話を続ける必要はないと思う。この世界はいろいろな面からできているので、その話から余白が生まれることもあります。

③ 〈支援者の声から対話を始める〉

(斉藤)
ODは、急性期も慢性期も、効きます。ただし、万能薬ではないですが。私は引きこもり専門なので、マイルドなおせっかい=御用聞きモデルです。ただ待ってる、では足りない。

(矢原)
家族も専門家の話を移しこんでいくといい。無理のない形で、家族でやってみる。そして外の力を入れていく。刑務所で、医療に先駆けて対話実践が始まっています。1907年制定以来初めて、刑法が今年変わりました。ノルウエーでは、リハビリテーションに方向転換し、再犯率が下がりました。

(小沢)
安全を考えた時、トラウマケアの6原則があります。安全・信頼性・ピアサポート・協働と相互性。エンパワメント・文化歴史ジェンダーの問題。

(斉藤)
緩急は大事です。何も言わない自由はすごく大事。沈黙する権利!
リソースの話が出ましたが、退院では60%が治療者と患者の対話で終結しています。

(矢原)
コスパ対策~ODでは関わった人全部が変わっていきます。少年院の経験で、ODに参加しない少年がいて刑務官が困ってた。彼に来てもらって、参加しない理由を語ってもらった。さらに彼は自分との関わり方についても語ってくれました。(笑)

(小沢)
自分の主体が影響しあっているという体験は大事です。
欧州の保育園では2才から、自分はなにをしたいのかを言います。だから相手の声を聴く。

(高口)
学級崩壊のクラスへ呼ばれ、毎日こどもが先生を攻撃。小グループになってもらい、クラスをよくしていくにはこうしたらいい、などと対話を重ねていくうちに改善されていきました。

(矢原)
問題を焦点化する、それに追われているみたい、突きつけられているみたい。
それが手段になってしまったら、私たちは息苦しくなってしまうのではないか?

④ 〈エンディング〉(*感想を送ってください)

(中野)
NHK厚生文化事業団でODの教材ビデオを貸し出しています(オンライン視聴・DVD貸出)。

(高口)
状況を変えなくては、というモードが入って来るとシンドイ!目の前の人の声に耳を傾けること!

(小沢)
声が応答を続けて、声が力になって、変わっていくような気がします。

(矢原)
会話が続いていくと、失敗がない。それが大事なんだ。少年院の体験~“何もしてあげられなくてごめん“と刑務官が言った。少年は、”一緒に道に迷ってくれた人がいて、嬉しかった“

(森川)
対話とは?また考えていきたいと思いました。


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