問題提起

人間関係の距離の取り方、自分は自分と割り切る、その線引きはそれぞれ、関係もそれぞれ。

~ 14才の世渡り術・「“死にたい”“消えたい”と思ったことがあるあなたへ」(河出書房新社編・2020刊)を読んで ~
〈書籍紹介欄〉を見てこの本を読んだと、40代女性・Aさんから感想文が届きました。
この本は、「少しでも心が楽になったり、何かのヒントが見つかったらいいな」と、25人
の方々が発言しています。(*文中の「 」内がそれぞれの筆者の発言です)
◯母のこと・父のこと~母は祖母と折り合いが悪く、いじめられていると言っては家出を繰り返していました。
父は“二人の仲は良くはなかったけど”くらいで、その温度差にビックリでした。
祖母が亡くなったとき、私は辛くて3か月ほど、泣いていました。
母にはこれで悩みはなくなったと思った…。でも、今は引きこもり…。
〈悩みの根本〉 って、意外と違うところにあるんだ、と考えが変わりました・・・。
このごろ、父に確かめたら、“母親と祖母の仲はよくならない、くらいに思っていたけど、
もっと早く介入していればよかった“と言いました。
私もそうですが、例えば二人目が生まれたら幸せになれるとか、お金があれば幸せになれると
か、物質的なモノに求めると限界があるし際限がないと思う。
もう一つは、母は人間関係が苦手だから、祖母が亡くなっても今度は他の人間関係で悩むんだ
なって思いました。
自分がある程度変わらないといけないと、私は思っています…。
人間関係の距離の取り方、自分は自分と割り切る、その線引きは人それぞれ、関係もそれぞれ。
私も義母との嫁姑問題が本当に大変だったけど、物理的に距離を取ることで解決したと思う。
義母が大事にしている「城」に住み続けるのは、無理がある。
母も別居していれば、また変わっていたかもしれないけど、多分他の悩みが出る人だと思う。
父はもしかしたら、いろいろなものが重なって今の状態になったと思っているのかな…?
ハッキリ聞いたことがないので、これを機に話してみようと思います。

① 〈はるな檸檬さん・漫画家〉“死にたいあなたが楽になるために”

「今、この瞬間の呼吸にだけ集中してたらね、必ず落ち着いて来る。すっごい単純だけど、誰にも必ずできる。こんなやり方で苦しみから逃れる方法を教えてくれたブッダってほんと最高」
すごく共感しますね。死にたいから少し浮上しても、やっぱり生きるって大変。
そしていろんな命を頂いて生きていることを、自覚したい。それを常に心の隅に置く。
魂のことについても考えますね。3.11 で死についてすごく考えました。
「動的平衡」(福岡伸一著・小学館新書2017刊)は、地球最大の謎・命とは何か?命の本質は、要素そのものではなく、要素と要素の“あいだ”で起きる相互作用にあるという…。
とても興味深い本でした。
手塚治虫版ブッダ伝(漫画)も読みました。有名な逸話が現代風の作画で書かれています。
その東洋的な哲学が少年少女にもわかりやすく描かれています。

② 〈磯野真穂さん・文化人類学者〉“自分の身体は、誰のもの?”

「もう一つの理由。それは、自分の身体が自分のものか怪しいと考えているからです。
例えば、心臓。君の心臓はひとときも休むことなく、君の意思とは無関係に動きます。」
人間ってすごいパワーで生きる方向に進んでいるんです!
それに逆らって、自分で自分を殺すって大変だな、ってすごく思った時がありました。
死ぬのをしくじったらすごい重い後遺症が残って!
苦しくても自分で死ぬこともできない身体になるのも、相当怖いって思います。

③ 〈末井昭さん・作家〉“まともだからこそ 死にたい と思う”

  「若い人の鋭敏な感覚は、世の中の嘘や矛盾や差別や不公平や不寛容を、すぐさまキャッチ
します。死にたいとみんなが思うのは、世の中が狂っているからです。」
「僕は“自殺”(朝日出版社・2013刊)という本を書いていることもあって、死にたいという
人からメールや手紙があれば、たいてい会うことにしています。希死念慮になっている人もいまし
たが、今は元気に暮らしています。」
この方の母親も自殺しましたが、すごい人生だなって思いました。
気になって、図書館で借りて読みました。
死にたくなったら、とりあえずおいしいものを食べる、寝る、身体を整える方に、気持ちを向けるってことだなと思いました。
私も子育てで疲れて、ずっと寝ていたい・起きていたくないと思った時、これって死にたいってことかな、と思いました…。今は、ただ疲れていたからそう思ったと気付けるけど・・・。

④ 〈斉藤環さん・精神科医〉“不安に襲われたら、身体も味方をしてみる”

これはアリだな、と思います。私もやります。楽しいよりも、心地いいを目指してみる…。
「それでも死にたい気持ちがどうしようもなくなったとき、病院を受診するのもひとつの手段です。不安障害やうつ病、摂食障害などの心の病が隠れている場合もあるので、治療を受けてみるという選択肢もあります。」
「“気持ちをアウトプットすること”“身体の感覚に着目すること”この二つは、病院での治療の有無にかかわらず、実践できることです。どうしようもなく辛くなったとき、この話をふと思い出してみてください。」

⑤ 〈斉藤陽道さん・写真家&ろう者〉“孤独から芽吹く言葉”

きっと、お母さんは陽道さんの障がいを認めたくなかったのかも?
そして、陽道さんはありのままの自分を見つけることができたから、今の自分があるのかな
と思います。
私も苦手なことやできないこと、どう頑張ってもどうしようもないことを、自分で受け入れる
ことができた時、随分と楽になりました。
「そして、自分の抱えている孤独を、我慢して突っぱねることなく、“今私は、寂しいんだな”
と受け止めてください。なぜなら、人をおかしくさせるほどの悲しみや苦しみ、寂しさを生み出す孤独は、同時にしたたかで、しなやかな生きる力をもたらしてくれる源泉でもあるからです。」
「あなたがその“孤独”を受け容れることができたその時、あなたの“ことば”に引き寄せられて出会う、未知の“ことば”があります。そこから始まる関わりこそが、あなたにとっての本当の希望となります。」

⑥ 〈小林エリコさん・文筆家漫画家〉“家族を嫌いでいてもいい”

「子どもは親や周囲から与えられたものだけで生活をしなければならず、自分で選ぶことはでき
ない」
そうだなぁ!と思います。家の居心地が悪くても、あからさまな暴力がなくては児童相談所や警察にも相手にされないし、それが認められても児童施設は大変だよっていう人もいる。
子ども時代にちゃんと将来を考えないと、自立(律)して生きていくこともできない。
私はこういう状態だって早く気が付いていたら、もっと将来のことを考えていたかもしれないのに、こういう結果になりました。
BSの断捨離番組に登場した女性は、親からの価値観の押しつけに反抗して、グレたらしいです。
偉いな~って思います。

⑦ 〈橘ジュンさん・NPO法人代表〉“我慢しなくていいんだよ”

* 橘さんは、虐待・家出・貧困などを一人で抱え込む女の子に寄り添うことを実践中。
「虐待と言われることを父親からされていた。気づいたのは、中1の保健の授業だった。
性行為とかの話をしていて、初めて私とお父さんがしていることはおかしいことかもしれないと思った。」
「“私の人生だから私が決めていいんだ”って言葉、みんなに届くといいな。」
私はいつも、母に怒られないようにするにはどうしたらいいか、という気持ちがどこかにあってそれを基準に物事を決めていた気がする・・・。
救急で病院に行くと、あの頃はずっと入院したいって思っていました。

⑧ 〈pha さん・文筆家〉“現実から逃げていい”

「“現実から逃げてはいけない”という言葉は粗い。問いの立て方が粗いと、そこから抜け出す方法が見えなくなってしまう。現実は何か、逃げるとは何か、それをもっと細かい言葉で捉え直すことが必要だ。世の中には、逃げてもいいことと、できれば逃げない方がいいことがある。」
「こういうことは一人で考えていると全く分からなくなる。人間は一人でいるとすぐに視野狭窄に陥る。周りに相談できる人がいないときは、本を読むのでもいい。」
「そんな風にいくらでもリセットしてやり直すことができたら、自殺する人は減るんじゃないかと思う。この世界で一番大切なのは、リセットのしやすさだ。」
私が短大を出て、正社員の仕事について、辞めた時は、辞めて精神的には楽になったけど、この先どうしたらいいのかと不安になった。相談できる人がいるって、大事なことだと思う。
あなたのいい所も悪いところも全部受け入れるよっていう人が一人いれば、死ぬ人はいなくなると思う。

⑨ 〈岩崎航さん・詩人〉“踏み出した重みを足がかりに”

「私も17才のときに、自分で死のうとしたことがあります。全身の筋肉が徐々に衰えていく難病
・筋ジフトロフイーを持っていたので・・・辛い毎日から逃れたいと思ったからです。」
「大きな壁、先の見えない悩みや苦しみに直面した時、大事にしたいと思うのは、自分の本当の気持ちを折りたたまないということです。闘ったことは、必ず活きて自分を支えてくれる…。」
私が筋ジスになったら、呼吸器をつけるかどうか、すごく悩むと思う。
悩むというか、多分死ぬのが嫌だから、呼吸器をつけてと言うと思うけど・・・。
体の不自由さと体の痛みや苦しみを考えると、死については深く考えると思う。
以前、オランダの安楽死の映画を見ました。旦那さんが静かに亡くなり、それを見て私は号泣しちゃったんです・・・。そういう自分にとてもビックリしました。
end.