オープンダイアログ

発達障がい当事者のオープンダイアローグ・アプローチを開いています! 自分の身体に衣をまとって話を訊いても、相手はしゃべってくれない!

~ オープンダイアローグの未来を語る会 (2023/12)の報告 ~

ODNJP主催で会員のための オープンダイアローグの未来を語る会 が zoom で開かれました。
この会は、事前にテーマを決めず、ODの未来や不安を自由に語る会です。
私は毎回出させていただいています。 ブレイクアウトルーム(全体の参加者を6名くらいに
分けて)で話し合います。 今回のあるルームの様子をお伝えします。

(Aさん)
テーマがなしで始まりますね・・・。 (*未来と不安を語る)

(Bさん)
発達障がい当事者のオープンダイアローグ・アプローチ(FLAT)を開いています。

(Cさん)
引きこもり経験者です。斉藤環Dr. と出会い、引きこもりODの学習会に参加しています。月1回。

(Eさん)
精神障がい者への知識が、広まったらいいと思っています。 病気ではないという人もいるくらいです。 日本では対話が得意でない気がします。 ODが広がれば、いろいろな人が生きやすくなると思います。

(Fさん)
娘が統合失調症で苦しんでいます。 この会に出て、いつも心安らかになっています。
ありがとうございます。

(Gさん)
34年前、精神科の若いSWさんから、入院歴のある親子の送迎と話し相手を紹介されました。娘さんには 幻聴 がありました。SWさんから、“幻聴さんノート” を勧められ、書き始めてもらいました。
3回やったところで、幻聴さんから “私のことをノートに書かないで!“ と言われ、止めたことがあります。

(Aさん)
ひきこもり当事者です。 老々介護や一人暮らしの問題に、どう地域で支えていくか?
という問題があります。 引きこもりへの偏見や、親の先入観の問題が・・・。
まとまらず、グルグル駆け回っています。 斉藤環さんは、“コミュニケーションができるとうんと違います“ と言います・・・。

(Eさん)
裁判になったケースで、70代の父親が30代の息子を軟禁してきた事件。
一人で抱え込まざるを得なかった父親の事情が、あったと思いますが・・・。
自治体で アウトリーチ が必要だと思う。 精神疾患の知識がない中で、アウトリーチはできるのでしょうか?

(Cさん)
先日、斉藤環さんが、“昔は妄想のことを本人に聞いてはいけない!と教わった。
今は聞いています。誤解でした。“ と言ってました。

(田中)
アウトリーチはできると思います。 相手の話を聞く、という姿勢があるかどうかだと思う。
「知識」は、現実の壁にぶつかって、勉強してきました。当事者から学ぶことも多いです。

(Fさん)
娘が妄想だらけで、外へ出られないときがあります…。 近所の方には統合失調症のことを話しています。 なんで隠すのか、理解できませんね。

(Cさん)
引きこもりでうつになりました。強迫観念に追い立てられました。 若い人ほど、柔軟になれるような気がします。

(Bさん)
皆さんへ質問です。 相手が対話できる状態ではないとき、どうしますか?

(Cさん)
斉藤環さんが、部屋を開けてくれない方には、扉の外で話しあい、籠っている人に聞いてもらいますと。

(田中)
例えば、沈黙して向かい合う、そばにいると思います。
例えば、対話できるようになると何とかなっていきますので、黙って待っていますね。

(Bさん)
対話的な態度は、人が集まりやすい。 安全だと感じられるので、話せるわけです。
参加者の方が、“僕の声を聴いてくれるかもしれない” と感じることが、突破口だったのかな・・・。
スキルではなく、態度だと思う。

(Aさん)
対話する時、話を聞く役と、リフレクティングをする役を分けています。
(*リフレクティング~ 当事者の目の前で、支援者同士が治療に関する議論を意図的に
行うこと。支援者の手の内を見せるかのような技法。
心理士の信田さよ子さんいわく、支援者や関係者が当事者宅へ出向いていくODは、頭上にぽっかり開いた空気孔のようだった!)

(Bさん)
声にならない声を聴けるようになるか? 発言してもらえるのか? ここなら話せるという場を作ることが大事だと思う。

〈全体ミーティングでの声〉

  • 支援センターの職員会議の場に、リフレクティング を取り入れました。やってみて、ヨカッタですよ。
  • オープンダイアローグ・ネットワークジャパンの会員になったばかりです。引きこもり家族会に入っています。統合失調症の方が多いことを知りました。
  • 引きこもり家族会をやっています。 ODと重なる所と、重ならない所があると思う。
    森川すいめいさんは、“自分のことを話すから、対話ができる” と言ってます・・・。
  • ある学校で、職員の雑談が生徒に流失してしまった。 その場にいない生徒のことを、職員が話をするのが当たり前になってます・・・。
    精神科のクリニックを開きました。医療の中でODをやりたいと思って!
  • フインランドで始まったODが、世界各地で広がっていると思います。
    「吃音者宣言」(言友会運動10年)を広めたいと思っています。
  • 本人のいない所で、決めない。人生の最後に真価が問われる。
  • 自分の身体に衣をまとって生きてきた人が訊いても、相手はしゃべってくれない。
    解決を求めるのではなく、そう思うと苦しくなります。言葉になることを見つけることに、気づかせてくれました。

(田中敏夫記)